「お座敷列車引退」千葉・君津市広報紙が“特ダネ” JR東、正式発表せず「時期は未定、誤報」

琉奈

2015年06月29日 17:43

 「ニューなのはな号は今年で引退です」。今月発行された千葉県君津市の広報紙に、地元を走るお座敷列車の引退を伝える記事が掲載された。鉄道ファンが惜しむ一方で、約1カ月が過ぎてもJR東日本からは発表がなく、ネット上では戸惑う声も広がっている。非公式な場でJR側が話した情報を、市が許可を取らずに掲載した“特ダネ”とみられ、記事を受けてJR側は引退の方針については認めたが、その時期などについては未定と説明している。(中辻健太郎)

 この広報紙は、君津市が6月1日に発行した「広報きみつ」。旅行案内記事の末尾に、さりげなく「旅を盛り上げてくれたお座敷列車『ニューなのはな号』は今年で引退です」と触れていた。
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 この一文を読んだ鉄道ファンらが、ネットの短文投稿サイト・ツイッターなどに「思い出があるので残念だ」「今までありがとう」と人気列車の引退を惜しむつぶやきを多数投稿。しかし、JR側から正式な発表がないため、ファンからは「引退は間違いじゃないのか」と、記事の真偽を疑う声が上がり始めた。

 本紙の取材に対し、JR東日本千葉支社の広報は「老朽化などのため、引退が決まっているのは事実」と明かしたが、「時期は未定なので、君津市の記事は誤っていることになる」と説明する。記事が掲載に至った経緯については「広報紙の企画の打ち合わせで出た話題を、市がよく確認しないまま掲載してしまったようだ」と困惑している。

 同社や市によると、4月末に両者の企画担当者が打ち合わせをした際に、引退の話題が出ていたという。市の担当者も「掲載前に確認をする手順を踏まなかった」と認めているが、年内引退の記事については「訂正する予定はない」としている。

 JR東日本などによると、ニューなのはな号は平成10年、座席を座敷に変えることのできる「お座敷列車」として千葉県に登場。南房総を訪れる修学旅行客向けに利用されるなど、20年近くにわたり活躍してきた。